生み出す

マタイ効果(Matthew effect)という考え方がある。

「沢山ある人は、もっと沢山手に入る。けど、持ってない人は、手に入らない。」

Robert K. Mertonの提唱した概念だという。

1968年、科学分野でのマタイ効果についての彼の論文がScienceに出ている。

コロンビア大学で教鞭をとっている時期だ。


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就職先で悩んだとき、いわゆる「儲かっている(お金がある)」という点が決め手になったりする。

お金があるところは、もっとお金が入るから。

手に入れたいと願っている初期の「ゼロ」地点では、+1が大きい。

それが10持っていれば、+1の価値は相対的に減少する。

100000000000持っているなら、+1はむしろ「ゼロ」になる。


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尻馬に乗る。

「ゼロ」段階で、巨人の肩に乗ろうじゃないか。

いきなり、+100くらい行くかもしれない。という可能性の高まり。

野心という炎。めらり、と。


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いや、有名、無名の両極ばかりが際立つ。

ゼロから無限の帯の間に無数に存在する点として、あらゆる活動を得点づけしたら。

果して、「持っている」段階には何点以上からなのか。と。

きっかけとしてのマタイ効果の利用は、加速を効かせるには良さそうだ。

ただ、「尻馬に乗る」と揶揄したように、そのまま乗っていてはいつか吸収され、同化する。

分岐し、アメーバのように触手を別に伸ばしていく。

伸ばした腕の先で、また尻馬に乗る?とでもいうのだろうか。


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決定的な決別。

いずれ、どこかで、そう遠くない未来に。

自分の腕をちぎり、別の地点を開拓する準備も怠ってはならないという示唆。

ここで、産声を上げる我が子、がいること。

貰い子ではない、正真正銘の(そこまで厳密ではないかもしれない)我が子。

そういう価値を見出すこと。

生み出す、とは、そういうことかもしれない。