彼は必ず希望を抱いて生れ、希望の力によって生きて来たであろう。 （凩、寺田寅彦） ● 旅にでる時、その虚しい希望をもつことの負担の方が大きくなった。 （小さな山羊の記録、坂口安吾） ● 出世を希望するかぎり、夢にも専門家になってはいけない。 （役人…

淡い匂いが血管からすっと消えて行くような気になる （次郎物語、下村湖人） ● 罪人の血管を流れている血も、俺の血管を流れている血も、そう大した相違があるものではない （若杉裁判長、菊池寛） ● 大静脈、大動脈、肺静脈、肺動脈等の大血管を悉く糸をも…

分岐し分岐して、それがおしまいにはクレオパトラになったり、うちの三毛ねこになったりする （空想日録、寺田寅彦） ● 即、魂に枝が出来る。勝手に分岐するのである。 （花の話、折口信夫） ● 死か生かの分岐点まで押しつめ突きつめて行くよりほかに仕方が…