Science

大学助教の雇用寿命

ポスドクに関する優れたネット上の論考(例えばここ)を読んでいると、忘れてしまいそうになるけど、実際教員になったらどうなん、という興味も正確にデータを伴った把握をしておきたい。特に教員になりたての初期の段階における情報が欲しいと思っていた。 …

生み出す

マタイ効果(Matthew effect)という考え方がある。「沢山ある人は、もっと沢山手に入る。けど、持ってない人は、手に入らない。」Robert K. Mertonの提唱した概念だという。1968年、科学分野でのマタイ効果についての彼の論文がScienceに出ている。コロンビ…

プルトニウム238と239+240

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。 ● 福島第一原子力発電所の周辺5点の土壌から、放射性物質プルトニウム(Pu)が検出された、 と東京電力は3/29未明の記者会見で発表した。 これが、そのときの配…

雲のタネ

雲には凝結核というリンゴのタネみたいなものがある。 そこに水という果肉がくっついて、氷になって膨らんで雲になる。 もくもく。 海の上には塩が、 砂漠の上には土が、 凝結核になって雲ができているという。 ● 小さい粒なら、何でも雲のタネになりそうだ…

Google Trendsの可能性:Natureの研究から個人的な好奇心の充足まで

2/19に出たばかりの『Nature』にある研究成果が報告された。 「検索エンジンクエリデータによるインフルエンザ流行の検知」 (Detecting influenza epidemics using search engine query data) Ginsberg, J. et al. Nature 457, 2009, 1012-1014 題目の検索…

概念を生み出すということ

南部陽一郎がノーベル賞を受賞した。しかも理論で、だ。すごい。すごいとしか言えない。小柴昌俊のときは、実験物理での受賞で、巨大なカミオカンデの映像を見て、ビッグ・サイエンスになってきたと感じた。泥臭い実験のなかからごく微量のものを見つけるこ…

オンラインに論文が登録されることの是非

James A. Evans. Electronic Publication and the Narrowing of Science and Scholarship. Science 18 July 2008: 395-399. [概要の適当な拙訳] オンラインジャーナルはより多くの情報を分散した聴衆に提供し、効果的に検索され集められている。しかし、オン…

個人的な営みであるという共通認識

私は、人生の計画を立てたことがありません。可能なかぎり、完全に無計画な生き方をしてきました。あの薬は、心臓の血液循環と、腸を通る血液循環を研究していた時に浮かんだアイディアから生まれたものです。私は、いつも何かの後を追いかけているだけです…

コホモロジー的な構造が美しいところ

『コホモロジーのこころ』(加藤五郎)なるself-containedな数学書を開けば、こう書いてあった。 「だれだれの定理によれば」とか「ある文献にあるように」とかを言わずに,本の始めっから自分自身と読者に話しかけつつ,納得しつつ,常に意識の流れを保ちな…