一人分のわたし
痛感している。
ひととひとがいるということ。
わたしとあなただ、ということ。
わたしの眼、あなたの眼。
わたしの口、あなたの口。
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けれど、実感できないでいる。
いまだに。
わたしとあなたは違うということ。
あなたとわたしは違うということ。
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「違い」といっても、感じ方の問題で。
誰もが、わたしとあなたは同じように考えている、と。
あなたはわたしに包含される、と。
肥大化するわたしに気がつかない。
どこかで膨張したわたしを、わたし一人分に縮小させないといけない。
きっと、そこらへんが曖昧で。
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悟る。
とか、
目覚める。
とか、
大げさな見栄があるけど。
そういいたくなるほどに、一人分のわたしの実感は困難と思う。
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具体化すれば、例えば食事だろうか。
目玉焼きの焼き方。
味噌汁の具。
そんなん、ひとりひとりの家庭の味があって、やりかたもあって、
舌がからだがそれに親しんでるんだから、
違うやりかた、見え方、味とか、違和感だらけで。
わたしは嫌だとかんじてあなたは好きだと感じる。
単純にそのままの違いを容認できない。
見逃さず、看過出来ない。
どちらも、「わたしの味」の素晴らしさ、「あなたの味」の違和感を主張する。
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肥大化するわたしの静かな暴力性に気づかない。
生きてきた時間の長さはあまり関係がないような。
どこらへんまで一人分のわたしにサイズを調節できるか。
自覚。
アジャスト。