漂流教室(少年サンデーコミックス版)の装丁にドギャギャギャ!

楳図かずお好きです。とても好きです。漂流教室好きです。とても好きです。
という熱気溢れる人たちは、インターネットにも沢山いて、面白いことを沢山書いたり、時には楳図かずお自身を呼び出して、講演会とか対談だとかをやっているわけですよね。

まあ、それはそうですよ。だってあの圧倒的な個性、センス、すげい。

そして、その際立った個性に付随して、出版された単行本の数々。
色んなバージョン、そう、簡単に言うと、色んな「表紙」が同じ漫画に対してデザインされ装丁に使われる。


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少年サンデーコミックス漂流教室の装丁は本当に本当に大胆な配色、構図、レイアウト。ババーン!!ドーン!!て感じなんです。冒頭の1巻の表紙と背表紙だけを漫然と画像で見ても雰囲気は分かると思いますけれども、そうなんですけれども!もっと、もっとですね。あの11巻もあるんですね。そりゃ、素晴らしいんです。それを、今から見てこうと。

これ、1巻の背表紙の「右上」の箇所の拡大なんです。主人公の高松翔君がパー!ワー!していますね。逆さで。これ、もう変です。だって上下逆さまやん。しかも配色が変態で。足元がショッキンググリーンで、これまた頭のショッキングなイエローへのグラデーション。輪郭線(ベタ塗りつぶしも)紫色、パープル、パープルやん。変態。すごい。かっこいい!!

以降の巻でも背表紙の「右上」は重力に反発した、サイケな構図が踏襲されてるんだから、興奮する。するするする!


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はいコレ、2巻ですね。何なんですか本当に、この配色センス。凄すぎます。なんだけど、もっと凄い巻があとから続々出てくるから、ウォーミングアップみたいな所なんですね、これでも。はい!気づきました?

「右上」ですね。川田咲子(咲っぺ)がいますねー。叫んでる、逃げてる!何、何なの?しかも重力に逆らって。

ちょっとここで、ポイントがあるかなーと。1、2巻はですね、表紙の人物を逆さにしたのを裏表紙の「右上」に使っている。いわば流用ですね。横流し。よーわからんけど、3巻以降はこの横流し無くなります。装丁作ってるひとたちも飽きたんでしょうかね。いやいや、見れば分かるんですけど、「ノってきた!!ノッテキターーーー!!」ていう気持ち、んー、パトス?がほとばしってキタ感じなんですよね。熱い、とても暑苦しい。


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さー、高松翔たちがやばいトコへ漂流しちゃいました。もうね。漫画の中身も悲惨なことにどんどんなっていく。そんな3巻です。もうね、やっぱ細部です。拡大です。ずずず、と寄って見るほうが何倍、いや何万倍もこの素晴らしい表紙を味わうことができます。大好きや!

というわけで、やはり「右上」ですね。ずごいい。何なんですかこの70年代の小学館少年サンデーコミックス。センス。いいなあ、自由だなあ。ド赤にド黄色、なのに水色の枠線。漏れちゃうよおれ。

3巻は、11巻の中でも見開きのところが素晴らしいので、ぜひぜひそこも紹介したいんですね。どんなもんかというと、これ!













……。
……。
……す、ご、い。

ドギャギャギャ!!!

おかーさーん!!!

いままで、漫画の見開きにこんなお母さんがのったことってあるんでしょうか?本当はですよ、届くはずのない場所にいる息子の高松翔から電話が繋がるって言う、胸が熱くなるシーンなのに。なにこれ。こええ。怖いです。凄すぎる配色。一切下がらない作り手のテンション。やばい。

コレだけじゃないんです。カバー外すと。そこには。
















……。
……。
……す、ご、い。

ドギャギャギャ!!!

翔くーーーん!!!

くさっ!くさああ!そうなんですね。見開きのお母さんの受話器は、カバーを外した翔くんへと繋がっている。なんというか、演出過剰というか。やりすぎというか。テンションここでも下げないんだ、っていう。かっこいい。


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はい、ちょっとヒートアップしすぎました。というわけで一気に4巻から8巻までの5冊の書影を一気に並べてみました。どれも甲乙つけがたい素晴らしい出来栄えでございます。個人的には4巻と5巻が配色といい、構図といい目茶苦茶好きなんすね。

はい、書影だけなら、一杯みたことありますよね。分かってます。ここで見て欲しいのは、なには無くとも裏表紙の「右上」です。並べますよー。

はい!これだけあります。そしてもう分かんない。どうしちゃったの??というのが4巻の「右上」ですよね。翔くんが3人段々と遠くになっていく配置で並んでますよねー。そして遠い目。何を達観したのか知らないんですけど、すごい透明感。きゃああああ!!!5巻と8巻は横にぞろぞろ並んでますね。ぞろぞろと。もう、全部にコメントしてったら字数いくらあっても足りないす。見て、眺めて、そしてお気に入りを発見して喜びましょう。


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ここからが、本番です。あと残り3巻です。ここからがヤバイ。とても、とっても素晴らしいので、1巻ずつご覧下さいませ。楳図かずお先生ありがとう。装丁のデザインした方々ありがとう。もうアートだよと。芸術だろと。泣くだろと。

9巻です。どうぞ。

はい、これだけだと何だか、何が凄いんだか全然わからないと思います。ですので。拡大しましょう。はい。













更にズーム。











見て欲しいのは。ドット。水玉です。すげーでかいの。もう、ここまで「やっちゃった」というのが偉い、凄い、さらに加速しています。宇宙をバックにゆらゆらしている翔くんですが、地の赤に白、ピンク、黄緑、オレンジ4種類のドットが規則的に並べられ、何の迷いもなく(そう感じられるし、そのテンションが鼻血ブーっ!!!!なんですけど)ババババ、っと置かれている。Yes変態。

んでもって、「右上」ですよね。忘れてませんよ。どうぞ。

ほんとに、手抜きが無い。だってドットの配色違うんですよこれ。さっきと。薄いグリーン(シーグリーンみたい)、紫、薄いオレンジ、赤に近い紫、の4種類になってんですよね。地は白。この「右上」最高です!!!!


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何がいいかって。このドットパターンがあと2冊もあるんですよ!!2冊も。小学生の頃生理的嫌悪感を抱いた漂流教室の表紙が、今ではこんなに芸術的な表現だと感じる。同じ人間が成長して変化した感覚?分かりまへんけど、

「おえええ!!きもちわるうううう!!!」

って感覚と、

「うおおお!!かっこいいいいいい!!!」

って感覚は同じことの両面だよなー、と感じるわけです。まあ、それはさて置き。10巻ですよね。わくわく。

いわずもがな。これは、この状態でも分かりやすいかもですけど。アップします。







ドドドドーーーーン!!!!!
もう小学生じゃないよ。これは。眉間といい、口元の引き締まり具合といい。決意が尋常じゃない様子がビンビン来ますね。ドットは2色使いでオレンジと白をババババと大胆に使ってる。ドットの色使いは9巻がピークなんですけど、このシンプルなドット使いも面白い。てか素晴らしい。

そこで、10巻の「右上」はというとですねー。

もう本当にね。何にも無い「さら」の状態でこれを大きくして、額に入れて近代アートの展覧会とか出してもパワー勝ちしてるよこれは。細かい所での雑さはあるにしても、勢いですか、尋常じゃない「止むに止まれず感」がスピード感を出してる。静止しているのに動いてる。集中線が見える。シュピーン!!!!


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はい。何事にも終わりがあって。最初と終わりは知ってる人が多いですよね。有名なラストの表紙(なのか?わかりませんけれども)、コレ。

内容を表紙で体現している。うう、泣ける。ズームと「右上」。








今度はドットの列で色を3色使っているパターンです。最後まで、エネルギーを使い果たしたのか、少しまとまりの良い感じになっていますけど、その落ち着き方は過不足なく、よくぞ、ここまで貫き通してくれました。パチパチパチ!!!!と賛辞を贈りますよ、ぼくは。










きっと、この空駆ける子供たちが大きなドットで、翔くんの内なるドットが炸裂したんですよこれ。「翔」ですからね。なんていっても。