固定化

朝起きるとあたまが動いているようで眠っている。
起き上った体だけが動いているような感覚。
いや、感覚というのは何か違う。


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食べたい時に食べていた以前とはちがって、
ごはんをよそってくれ、味噌汁も置いてある。
口を動かしているようで、そうでないような、
不思議な感覚のなかで食べる。
食べていると感じる。


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移動というのは疲れる。
電車に乗る。幸いに出発駅のため、座る。
人が増えていく。足がとても気になる。
こう、足というのを2本そのままで維持するのは、
なかなかに苦痛だ。
すこしの変化をもとめて、すこしだけ足を
動かしてみる。cmレベルの動きで、
前後左右に他人の体と足が存在している。


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20階には足りないくらいの建物について、
座る。椅子にはアーム式で右前に小机が出てくる。
左利きを無視している構造的差別。
そこで書き物を続けると左後ろあたりの腰が痛くなる。
ある部分に固定され、限られた範囲での作業はよくない。


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混雑時の椅子。
固定された椅子の机。
動きがない状態はほとほと厭だ。