林静一さん大特集を感激してタッタカターと買ってしまった

イエローぼへぼへ

サイケぼへぼへ

林静一さんという漫画家というか画家がとてもいいと思います

林静一という漫画家さんの描く絵がとても好きで、古本屋ではアンテナ張って探している。

小梅ちゃんが有名なんだろうけれど、小梅ちゃんはそんなに好きじゃなくて、この人は本当は漫画家じゃなくて本質的には画家なんだと思うんだけれど、実際今は画業で飯食ってるみたいだし、という感じなんですけれど、そんな林静一さんの初期の頃(ガロっていう変な漫画雑誌、商業臭ゼロ)にぽち、ぽち、と出していた頃の漫画の絵がスンげービリビリ、好きなわけです。

今日は古本屋さんでガロの1992年7月号を売っていまして、その号が林静一さんを大特集しているわけで、感激してタッタカターと買ってしまったのです。もう、興奮気味に。

この寝ている少女と子猫なんかかなりストライク!ストライク!なわけです。描線の美しさというか。イイです。

というか、バババ!!っと柄!!!白い肌!!!!とゆーコントラストがセンスがびんびん匂ってくるようで、感情を惹きつけるんだとも。

林静一さんで有名なのは「赤色エレジー」という作品。この当時にまつわるやまだ紫さんの文章が載っていてですね、こんな感じです。

何かの雑誌のインタビウに、『赤色エレジー』の赤色は「せきしょく」と読むのか「あかいろ」と読むのかと聞かれて「どっちでも好きに読んで」と答えておいでだった。私は個人的に「あかいろ」のほうがアンニュイな感じでいいと思っていたので、「せきしょく」なんて食品色見本みたいな読み方をする人が許せなかったので「どっちでもいい」と御本人が発言されて一人でガッカリしたものだ。

作品そのものが本当に好きなファンの気持ちと裏腹に、べつに「せきしょく」でもなんでもいいわい、という作者のテケトーさ。創ってる人サイドのてらいのない雰囲気が出ていてヤベーです。

まっかっかロックはロックです

買ってきたガロという商業臭のあまりシナイ雑誌の林静一特集には、コマーシャリズムを風刺するような「まっかっかロック」とゆー作品が載っていました。その冒頭の一コマ目がこれです。

エーっ!!!!!!驚きです。

そんでですね、二コマ目がこちらになります。

何かサイケなおっさんが、銃をもってニヤニヤしてる。

不気味です。三コマ目。

何でしょうか?この黒いのは。。。

四コマ目に、ザザーっと目を移します。

冒頭部分だけで、相当ぶっ飛んでることが分かります。アナーキーですねー。日本のBanksyといえるでしょう。シビレマス。

というか四コマ漫画として成立しているところも面白いです。

なにより、ひとコマの完成度がもうイラストレベルに高くて、コマを独立させて額装したい衝動に駆られます。漫画という感じじゃあなくて、イラストとイラストを連結して出来上がった何か。といった表現のほうがテキトーなんじゃないかなー。

ともあれ、この作品のタイトルにたがわず「ロック」ですね。

はっぴいえんど林静一さんのジャケつながりにびっくり

はっぴいえんど

はっぴいえんど

このはっぴいえんどのジャケ(いわゆるあれです、「ゆでめん」と呼ばれている巷のあれですね)を描いてもいるなんて、やまだ紫さんが

林静一さんは紙で歌謡曲を唄っていた。

というとーり、音楽と自身の作品との密接なつながり伺えますね。漫画の世界でロックをやってたんじゃないかと推察されるわけですね。

商業臭が何にもかんじられない雑誌ガロの林静一さん特集号には、林さんの対談が載っていまして、楽しそうに歌謡曲について語っています。きっと音楽聴きながら好きなお絵かきをしまくるんだー!っていう机周りの格闘が想起されて、ありがたい読み物です。すんごく造詣があるみたいでして、歌謡曲にですね、面白いんです。たとえば

…演歌はよく「女々しい」とか言われるけど、八代亜紀なんかの「涙の雨が降る」って詩があるでしょ、あれなんかほとんどシュールリアリズムの世界だよね(笑)。「涙の雨」なんてさ、凄いじゃない。

ほんますっきやねん、がなければこんなに熱っぽく八代亜紀について語れるわけがありません。むふふ。

「涙の雨が降る」っていう歌詞がある歌は、どうやら「釜山港へ帰れ」みたいでして、当の八代亜紀はあんまし歌ってないみたい(?)なんでした。けど、演歌でシュールリアリズムとか、気づかないって。それでは、まいりましょうか。

林静一さんというひとは人間的にも魅力的だなあ

ただあの人すごく呑気ね。俺それ知らなかったんだけど、会いに行くと何か落っこってるんだよね。これ札じゃないかな、って思ったら札を折り畳んだのを放っぽってあるんだよね。「これ落っこってるよ、大丈夫か」って言ったら「こないだも下宿のおばさんに注意されました」って言うんだよ(笑)。

繰り返すが、そんな不思議な雑誌ガロの編集長をしていた長井勝一の語る、若かりし頃の林静一さんの姿。なんか、でっかいですなー。一体、どのくらいの間放置されていたんでしょう。お札。頓着しないんですねえ。

内田春菊さんは、林静一さんの趣味のよさについて、関心のひろさについて、愛着たっぷりに、ホれてんじゃないかってくらいに書いているんだから、たまんないよ。もう。この内田さんの文章で綴られる「林さん」という人物のイメージが他己紹介としてとっても上質なスベスベのシルクみたいで肌触りがいいなあ。そう思った次第でございます。

林さんとお話していると、なんだかヨーロッパ男と話しているような気になる。それはルックスもだけど、ものの考え方とか、いろんなことで。それに、林さんのフェロモンは男にも効くみたい。(中略)男が妊娠する話から、ラッキー池田さんの振り付けの話まで、今まで林さんが「そんなの他人事」って顔したのを一度も見たことがない。お話しするたんびに林さんの口からは上質なネームがもったいないくらいぽろぽろこぼれ落ちてくるので、おーい誰か録音してくれーという気持ちになる。

まだまだ、読むところは一杯あって、むふふです。このくらいにしときます。きりがなさそーデスカラ。